#01 KREVA × ALMOSTBLACK

STREET CONTEXT ARCHIVE
世界に一つしか存在しないスペシャルピースのパーカー

STREET CONTEXT ARCHIVE / FILE 01

KREVA × ALMOSTBLACK

20 年前にラッパーが世に放った最初の言葉が、糸の一針ずつで服に戻ってきた。
世界に一点だけのアートピース。「勝色」を名に持つブランドと、
20 年勝ち続けた言葉が交差した、必然のコラボレーション。

2025 / ONE-OF-ONE / GALLERY X by PARCO

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

誕生日が、まったく同じ「6月18日」だと分かった日、このプロジェクトは決まったようなものだった。一人のラッパーが、一人のデザイナーの服を私服として買っていた。ただそれだけの偶然が、いくつも重なって、必然の顔をしはじめる。

  • PIECE
    KREVA × ALMOSTBLACK 全刺繍スペシャルピース(スウェットパーカ)
  • BRAND
    ALMOSTBLACK / デザイナー:中嶋峻太
  • LYRIC
    KREVA『音色』(2004 ソロメジャーデビュー曲)第1番
  • ORIGIN
    個展「ラッパーと紙とペン」(GALLERY X by PARCO)製作の1点物
  • STATUS
    世界に一点 / 非売品アーカイブ(会場抽選で収蔵)

01

Origin

必然の獲得

Inevitable Acquisition

始まりは、KREVA が一人のファンとして ALMOSTBLACK の服を買ったことだった。私服として、ライブ衣装として愛用していたことが、デザイナー・中嶋峻太との交流のきっかけになる。

やがて中嶋が KREVA のラジオ番組にゲスト出演したとき、二人は立て続けに符合に気づく。誕生日が同じ「6月18日」。

さらに母親の出身地まで同じだった。しかも 2025 年は、ALMOSTBLACK 設立 10 周年、KREVA ソロデビュー 20 周年が重なる年。発売日は、迷うことなくその誕生日に定められた。

ビジネスの企画書から始まったのではない。いくつもの偶然が、必然の顔をして積み上がった。我々がこの一着を #01 に据えたのは、その手触りに惹かれたからだ。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

02

THE BRAND

勝色を纏うブランド

A Name That Means Victory

KREVA の名は知っていても、ALMOSTBLACK を知らない人のために、もう一人の主役を記録しておきたい。デザイナー・中嶋峻太は、1982 年生まれ・愛知県出身。

エスモードパリを卒業後、2005〜2007 年、あの〈RAF SIMONS〉でデザインアシスタントを務めた。帰国後はミスターハリウッドを経て、2015 年に ALMOSTBLACK を立ち上げる。普段はロゴをほとんど見せず、シルエットと素材で語るブランドだ。

そして、このブランドには名前そのものに物語がある。ALMOSTBLACK =「褐色(かちいろ)」。黒く見えるほど深い藍色を指す古語で、藍を搗(つ)いて染めるこの色は、鎌倉時代「搗つ=勝つ」に通じる縁起物として武士たちに愛好された。明治には軍服の色「軍勝色」とも呼ばれた。

つまり ALMOSTBLACK とは、「勝つ色」を纏うブランドである。20 年、日本語ラップの最前線で勝ち続けてきた男が、「勝色」を名に持つブランドと組む。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

ALMOSTBLACK とは、 「勝つ色」を纏うブランドである。

03

THE SONG

二重の出発点『音色』

A Double Origin

2004 年、KREVA は「音色」でソロメジャーデビューした。この曲は、二つの意味で“出発点”だ。一つは、KREVA 個人のソロキャリアの始まり。もう一つは、20 年後にこのパーカーへ刺繍される言葉の、原典。

KREVA がどれほどの存在かを、数字で確認しておきたい。2nd アルバム『愛・自分博』は、ヒップホップ・ソロアーティストとして史上初のオリコン週間 1 位。アジア人として初めて『MTV Unplugged』に出演。作詞・作曲・トラックメイク・ラップ、そしてプロデュースまで自分で行う、徹頭徹尾「言葉の人」である。

その彼の最初の言葉が『音色』だった。本アーカイブは、このパーカーと同時に『音色』のシングルとデビューアルバム『新人クレバ』もアーカイブに収めた。服に刺繍された“言葉”と、その言葉が生まれた“音”が、ここで再会する。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

原典となった2枚

THE SOURCE RECORDS

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

KREVA がソロとして世に放った、最初の一曲。KICK THE CAN CREW の活動休止を経て、2004 年 9 月 8 日 ──「クレバの日」── にメジャーデビュー・シングルとして発表された先行曲である。作詞・作曲・トラックメイクからラップまで、すべてを一人で手がける“言葉の人”の出発点。その第1番リリックこそ、20 年後に本作のパーカーへ全刺繍で移植された“原典”だ。服に刻まれた言葉は、ここから生まれた。

音色

KREVA / 2004 ソロメジャーデビュー曲(帯付き)

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

「音色」を収めた、KREVA 初のソロ・アルバム。2004 年 11 月 3 日リリース、全 14 曲・約 45 分。Mummy-D、BONNIE PINK、KANA ら豪華客演を迎えながらも、その核にあるのは“自分一人で全部やる”という宣言だった。タイトルはあえての「新人」。すでにキャリアを重ねた表現者が、ソロという更地に立ち、もう一度ゼロから名乗りを上げる。20 年続くソロ・キャリアの礎となった一枚である。

新人クレバ

KREVA / デビューアルバム(帯付き・歌詞カード付き)

04

CRAFT

生原稿、そして糸

The Exhibition & The Thread

このパーカーが生まれた場所も、記録する価値がある。2025 年 1〜2 月、KREVA は自身初の原書展示販売会〈ラッパーと紙とペン〉(GALLERY X by PARCO)を開催した。展示・販売されたのは、完成した作品ではない。

彼が名曲を生み出した瞬間の、手書きの生原稿そのものだ。書き殴られたインク、推敲の跡、余白のメモ。通常は誰の目にも触れない「思考の現場」を、アートとして提示する個展だった。

ここに ALMOSTBLACK が呼応した。彼らが作ったのは「1 点物」と「物販」の 2 アイテム。その 1 点物が、本アーカイブのパーカーである。応答は、糸だった。紙の上の手書き文字を、服の上に刺繍として移植する。プリントすれば一瞬で済むものを、あえて運針で再現する。書く人の手の動きに、縫う人の手の動きで返す。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

05

THE PIECE

リリックを纏う

Wearing the Lyric

ベースは ALMOSTBLACK を象徴する高密度のスウェットパーカ。そこに、KREVA のソロメジャーデビュー曲『音色』のリリックが、プリントではなく全刺繍で刻まれている。一見すると抽象的なグラフィックアートのようでありながら、近づくとそれがすべて「ラッパーの言葉」であると分かる。その距離による反転こそ、この一着の核心だ。

身に纏えば歩く詩集になり、壁に掛ければ一篇の絵画になる。服でありながら、服の機能を超えていく。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

刺繍された言葉、その原典『音色』

THE SONG

元ネタ

SAMPLE

海の向こうのソウルの一節が、日本語の言葉と出会い、20 年後には糸へと姿を変える。サンプリングという“引用の文化”が、刺繍という“移植”に重なる。(サンプル表記はアルバムのクレジットに基づく)

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

音色 / KREVA(Dr.K 名義)2004。ソロメジャーデビュー曲にして、20 年後にこのパーカーへ全刺繍で移植される“原典”。

Sounds Like A Love Song / Bobby Glenn(70s Soul)。KREVA がこの一曲を素材に、コードと空気感を立ち上げたとされる原曲。

◀ SAMPLED FROM
Sounds Like A Love Song
Bobby Glenn
1976 ・ from "Shout It Out"

06

ARCHIVE

言葉を物質にする

The Will to Connect

なぜこれが「服」ではなく「アートピース」なのか。ヒップホップにおいて、リリックは普通、耳で聴く「音」か、目で読む「テキスト」で存在する。だがこのパーカーは、その両方からはみ出す。リリックが、身に纏い、壁に掛けて鑑賞する「物質」になっている。

言葉を物質化するとは、その言葉に「劣化しない実体」を与えることだ。音は再生のたびに空気へ消え、テキストは無限に複製できる。だが、糸で縫われた一点物の言葉は、そこにしか存在しない。消費されない言葉。それは、我々が「アーカイブ」という営みで目指すものと、完全に重なる。

このピースは、個展会場での抽選を経て、我々の手元に辿り着いた。世界に一点しかないものが、いくつもの偶然の末にここへ来た。C.r.e.a.m. Team Records は、これを商業的な消費のサイクルから切り離し、レーベルという一つの文脈のもとに記録する。20 年勝ち続けた言葉を、「勝色」のブランドが、消えない物質に変えた。その交差を、劣化しない記録として、この場所に。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

ふたつの周年が重なるまで

TIMELINE

2004
2004

『音色』

KREVA、「音色」でソロメジャーデビュー。

2005-2007
2005-2007

RAF SIMONS

中嶋峻太、〈RAF SIMONS〉でデザインアシスタントを務める。

2015
2015

ALMOSTBLACK 設立

「勝色」を名に持つブランドが始動。

2025.1
2025.1

ラッパーと紙とペン

KREVA 初の原書展示販売会。ALMOSTBLACK が1点物を製作。

2025.6.18
2025.6.18

コラボ発売

両者共通の誕生日に発売(10周年 × 20周年)。

アーカイブ収蔵

1点物が抽選を経て #01 に収蔵。『音色』『新人クレバ』も。

2026.6.18
2026.6.18

第2弾コラボ

「GHOST ALMOSTBLACK × KREVA」発売。米軍の欺瞞部隊〈ゴースト・アーミー〉と日本の〈忍〉に着想し、現代美術家・加藤泉がロゴを制作。

全カット

FULL ARCHIVE

KREVA本人のInstagramより

From the Artist

ARCHIVE NOTES

本アーカイブに関する注意事項

  • 作品の所在と背景
    本シリーズで紹介している作品および衣類は、C.r.e.a.m. Team Records が所有するアーカイブであり、非売品となります。

  • 作品の真正性について
    #01のパーカーは、2025年開催のKREVA20周年記念展示会「ラッパーと紙とペン」にて、会場での厳正な抽選を経て入手した世界に一点のみのスペシャルピースです。

  • 実地展示のご案内
    公開された各アーカイブは、今後開催予定のC.r.e.a.m. Team Recordsポップアップストアやライブイベント会場にて、実地展示を予定しております。

  • 展示情報の告知
    具体的な展示スケジュールや会場の詳細につきましては、決定次第、当サイトおよび公式SNSにて順次お知らせいたします。

  • 権利とリスペクト
    本アーカイブの公開および展示は、文化の記録と接続を目的としております。各アーティストおよびブランドのパブリシティ権・著作権に深い敬意を払い、所有権に基づき適切に運営いたします。

REFERENCES

出典・参考

一次記録(自社アーカイブ) 本作パーカーは、2025年の KREVA 個展「ラッパーと紙とペン」(GALLERY X by PARCO)で ALMOSTBLACK が製作した 1 点物を、会場の抽選を経て入手した世界に一点のスペシャルピース。所有・状態、および『音色』『新人クレバ』の収蔵、サンプル表記(後述)は自社アーカイブ品目データベースおよび所有現物のクレジットに基づく。
02 ブランド・デザイナー(中嶋峻太/ALMOSTBLACK) 1982年・愛知県出身、エスモードパリ卒、2005〜2007年〈RAF SIMONS〉でデザインアシスタント、2015年 ALMOSTBLACK 設立。ブランド名=「褐色(かちいろ/勝色)」の由来: <ALMOSTBLACK>デザイナー 中嶋峻太 — QUI ALMOSTBLACK デザイナー インタビュー — fashionsnap
03 KREVA 2004年「音色」でソロメジャーデビュー(9月8日=クレバの日)、2ndアルバム『愛・自分博』がHIP-HOPソロアーティスト史上初のオリコン週間1位、アジア人初『MTV Unplugged』出演、9月8日は日本記念日協会が正式認定、KICK THE CAN CREW(1997結成/2004活動休止): KREVA 公式プロフィール 愛・自分博 — Wikipedia MTV アンプラグド出演 — 音楽ナタリー
04 個展「ラッパーと紙とペン」 2025年1〜2月、GALLERY X by PARCO にて KREVA 初の原書(生原稿)展示販売会。ALMOSTBLACK が「1点物」と「物販」の2アイテムを製作(出典:上記 KREVA 公式プロフィール 年表)。
タイムライン / コラボレーション 第1弾:2025年6月18日(両者共通の誕生日/ALMOSTBLACK 設立10周年 × KREVA ソロ20周年)発売。 ローンチ — PR TIMES 第1弾 — fashionsnap 第2弾:2026年6月18日「GHOST ALMOSTBLACK × KREVA」(現代美術家・加藤泉がロゴ制作)。 第2弾 — fashionsnap 新カプセルコレクション — Real Sound
THE SONG /『音色』サンプリング 『音色』(KREVA/Dr.K 名義, 2004)は Bobby Glenn「Sounds Like A Love Song」を素材にしたとされる。出典はアルバムのサンプル・クレジット表記(自社所有現物)に基づく。
”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

C.r.e.a.m. Team Records

さあ、ステージへ。 クリームチームレコードは誰でもアーティストやオーナーとして 創作活動に参加できる90年代ヒップホップ専門レーベルです。