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ORIGIN
制約という起点
CONSTRAINT AS ORIGIN
E-mu Systems の SP-1200 は1987年、カリフォルニアのメーカーから出荷された一台のサンプラーである。設計は Dave Rossum。12ビット・10秒という制約を抱えたこの機械の出荷時の用途想定は、ビートメイクではなくジャズやファンクの伴奏制作であった。
しかし結果として、この機械の制約こそが、後のサウンドの輪郭を決定する。12ビット量子化が生む暖かな歪み。10秒というサンプル時間の貧しさ。SSM2044 フィルターの粘り気。これらは設計上の不自由だが、Marley Marl、Pete Rock、DJ Premier、RZA、Diamond D、Large Professor の手にわたり、90年代ニューヨークの黄金期サウンドの基準となった。
