90年代のヒップホップシーンの中でも、極めて濃密な時期とも言える1991年後半。ヒップホップ専門誌『The Source』が5本マイクに認定したアルバムが半年の間に3枚リリースされただけでなく、他にも実に数多くのクラシック作品がこの時期に集中的に誕生している。
デビュー作『People’s Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』から約1年半後ににリリースされたA Tribe Called Quest(以下、ATCQ)の2ndアルバム『The Low End Theory』(9月24日発売)は、前作で示したATCQならではのオリジナルなスタイルをキープしながら、ファンの期待を遥かに上回るクオリティの高さによって、さらなる衝撃をヒップヒップシーンへ与えた。特にジャズサンプリングの多用は本作の大きな特徴の一つで、ウッドベースとQ-Tipのラップによってスタートする1曲目「Excursions」から高い興奮を与えてくれる。さらにQ-Tip、Phifeそれぞれのラッパーとしての成長も著しく、PVも最高な3つのシングル曲「Check The Rhime」、「Jazz (We’ve Got) 」、「Scenario」はもちろんのこと、アルバムの頭からラストまでぜひ通しで堪能して欲しい。