#04 WU-TANG CLAN 36 CHAMBERS TO FINAL CHAMBER

STREET CONTEXT ARCHIVE
1991年の挫折から、横浜の一夜まで。35年を束ねる記録

STREET CONTEXT ARCHIVE / FILE04

WU-TANG CLAN

二度の挫折から、九人の布告へ。
そして 33 年後、同じ言葉が横浜で本人の口から発されるまで。
1991 → 2026、その時間そのものを記録するアーカイブ。36 CHAMBERS TO FINAL CHAMBER。

1991 → 2026 ・ STATEN ISLAND → YOKOHAMA ・ PROMO / NOT FOR SALE

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
1994 年製造のプロモーション盤 LP(RCA / NOT FOR SALE)。商業流通を前提としない、布告の形をした一枚。

布告の前に、二度の挫折があった。1993 年、スタテン・アイランドの九人が放った言葉は、2026 年の横浜で本人の声によって再び確認された。これは、二枚の不発のレコードから一夜のステージまでを貫く「時間」の記録である。

  • PIECE
    Enter The Wu-Tang (36 Chambers) 1994 PROMO LP(RCA Records / NOT FOR SALE)
  • ARTIST
    WU-TANG CLAN
  • PROJECT
    36 CHAMBERS TO FINAL CHAMBER
  • CONTEXT
    STATEN ISLAND → YOKOHAMA / 1991 → 2026
  • ANCHOR
    前史2枚(Prince Rakeem『Ooh I Love You Rakeem』未開封/ GENIUS『Words from the Genius』US 1st)/ メンバー・ソロ作(Tical/Return to the 36 Chambers/OB4CL/Liquid Swords/Ironman/Supreme Clientele/Bobby Digital/Uncontrolled Substance)/ Wu-Tang Forever 4LP US未開封・Iron Flag・Ghost Dog OST / 来日記念完全生産限定盤(2016/2018/カセット)/ 少林寺三十六房 B2ポスター・OST・パンフレット
  • STATUS
    C.r.e.a.m. Team Records 所有アーカイブ / 非売品

01

Origin

布告という始まり

THE PROCLAMATION

1993 年 11 月 9 日、ニューヨーク郊外のスタテン・アイランドから、一枚のアルバムが放たれた。九人の MC は、その形に辿り着くまで、映画「少林寺三十六房」を繰り返し見ながらブラザーフッドを磨いてきた。

「Enter The Wu-Tang(36 Chambers)」は、技術的には一人の男の仕事だった。RZA がほぼ全曲をプロデュースし、狭いスタジオで、サンプラーとレコードだけで完成させた。予算は貧しく、スタジオ時間も限られていた。しかしそのすべての制約が、後に「East Coast サウンド」と定義される音響的な密度と圧力を生んだ。

C.R.E.A.M.。Protect Ya Neck。Wu-Tang Clan Ain’t Nuthing ta F’ Wit。これらは曲名であると同時に、言語的な宣言だった。単に音楽として出荷されたのではなく、スタテン・アイランドという「忘れられた行政区」からの布告として機能した。

本アーカイブが保有する一枚は、1994 年製造のプロモーション盤 LP(RCA Records / NOT FOR SALE)である。商業流通を前提とせず、メディアと業界関係者にのみ配布されたこの一枚は、公開前の布告の形をしている。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
1994 年製造のプロモーション盤 LP(RCA / NOT FOR SALE)。商業流通を前提としない、布告の形をした一枚。

02

PREHISTORY

前史 — 二度の挫折

TWO FALSE STARTS

Wu-Tang が「集団」として独立独歩の道を選んだのには、理由がある。中心人物の二人が、その前に一度、メジャーレーベルの仕組みに飲み込まれていたからだ。布告の前に、二度の挫折があった。

1991 年 2 月、GZA は「The Genius」名義でデビュー・アルバム『Words from the Genius』を Cold Chillin’ から発表した。同年 7 月には RZA が「Prince Rakeem」名義で EP『Ooh I Love You Rakeem』を Tommy Boy からリリース。この 2 作こそ、Wu-Tang 結成以前に存在した唯一のメンバー・ソロ作である。『Words from the Genius』には Prince Rakeem 名義の RZA も客演し、二人はすでにマイクを交わしていた。

しかし、どちらもチャートに残らず、両者ともレーベルを去ることになる。売れなければ切られる。メジャーの論理を、二人は身をもって知った。この挫折がなければ、後の Wu-Tang は生まれなかった。RZA が「クランとして主導権を握り、各メンバーを別のレーベルへ送り込む」という前代未聞の5 年計画を構想したのは、同じ失敗を二度と繰り返さないためだった。

売れなければ切られる。その論理を知った二人が、主導権を握るために、集団を組んだ。

本アーカイブは、この二枚を保有する。Wu-Tang という名がまだ存在しなかった時代の、二人の「最初の声」。すべての布告は、その前に語られなかった物語を持っている。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
Prince Rakeem『Ooh I Love You Rakeem』(1991, Tommy Boy)。RZA の、最初の一枚。シールド盤
”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
The Genius『Words from the Genius』(1991, Cold Chillin')。GZA の、最初の一枚。

売れなければ切られる。その論理を知った二人が、主導権を握るために、集団を組んだ。

03

THE NAME

名の出自

SHAOLIN DNA

「Wu-Tang」という名は、武術映画『少林と武當(Shaolin and Wu Tang, 1983)』から取られた。RZA と Ol’ Dirty Bastard が愛したこの一本が、グループ名の源泉である。少林(Shaolin)と武當(Wu-Tang)、二つの流派の対立と融合を描く物語が、九人組の名乗りになった。

一方、アルバム名「36 Chambers」は別の名作『少林寺三十六房(The 36th Chamber of Shaolin, 1978)』に由来する。三十六の「房(チェンバー)」を一つずつ越えて武を極める物語の構造が、そのままアルバムの背骨になった。修行の段階、精神の鍛錬という武術映画の哲学を、RZA はヒップホップの方法論として再解釈した。名乗りは『少林と武當』から、思想と章立ては『少林寺三十六房』から。

本アーカイブが保有するB2 映画ポスター、OST 帯付き初回盤、映画パンフレットは、いずれも『少林寺三十六房』のものだ。グループ名そのものの由来作ではないが、アルバム名「36 Chambers」の出自であり、Wu-Tang の文化的 DNA への接続として、シリーズの視覚的原点に位置づけられる。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
少林寺三十六房(Shaw Brothers, 1978)。アルバム名「36 Chambers」の出自であり、Wu-Tang の文化的 DNA。

04

THE SOUND

音の設計者

RZA THE PRODUCER

「36 Chambers」の音を作ったのは、ほぼ RZA 一人だった。場所はニューヨークの Firehouse Studio。薄暗く、狭く、安価なスタジオである。潤沢な機材などどこにもなかった。

使われたサンプラーは、E-mu SP-1200、Ensoniq EPS-16 Plus、ASR-10 の三台。いずれもスタテン・アイランドの仲間から借りたものだった。借り物の機械を限界まで使い倒すこと——その制約から、あの密度と圧力は生まれた。

RZA は 50〜60 年代のソウルやジャズ。Thelonious Monk から Otis Redding、Jackson 5 までを素材に、テンポへ落とし込むために遅くし、あるいは速めて“チップマンク”の効果を作った。そこへカンフー映画の台詞を差し込む。埃をかぶったレコードと安い機械が、東海岸の重い空気を立ち上げた。

実際の打ち込みは EPS-16 Plus と ASR-10 がより多くの曲を担ったが、その三台の一台に E-mu SP-1200 があった。本シリーズ #03 が収蔵する SP-1200(ex DJ MASTERKEY)は、まさに RZA が「36 Chambers」を彫り込んだ方法論と同じ血脈にある。機械はレーベルのアーカイブに、方法は音楽史に残った。

借り物の機械を、限界まで使い倒す。
その制約こそが、東海岸の音を決めた。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
E-mu SP-1200。RZA が「36 Chambers」で使ったサンプラーと同型機。本アーカイブが収蔵する個体は ex DJ MASTERKEY(Buddha Brand/#03)。あの粗く重い East Coast の音は、こうした機械から彫り出された。
”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
プロモ盤ラベルのクレジット。「PRODUCED, MIXED AND ARRANGED BY PRINCE RAKEEM "THE RZA"」。まだ Prince Rakeem の名が残る時期の表記で、Ol' Dirty Bastard が共同プロデュースに名を連ねる。「36 Chambers」がほぼ一人の手仕事だった証拠が、ここに刻まれている。

05

THE STRATEGY

5年計画という設計

THE FIVE-YEAR PLAN

前史の二度の挫折を踏まえ、RZA は前代未聞の設計を打ち立てた。9 人が「クラン」として動きながら、各自がソロ・キャリアを持つ。クランとして名を確立してから、各メンバーを別々のレーベルへ送り込む。それが「5 年計画」である。

一社が全員を抱える普通の契約では、一度の不発で全員が切られる。前史で二人が味わったのは、まさにそれだった。だから RZA は、リスクを一社に集中させなかった。レーベルをまたいで分散させ、主導権だけは握り続ける。売れなければ切られる側から、当たれば全部こちらに返ってくる側へ。発想を反転させたのだ。

この計画は、絵に描いた餅ではなかった。実際に実行され、次章「九つの軌道」で見るとおり、メンバーは各々のレーベルから次々とソロ作を放っていく。集団であることと、個であること。その両立を“制度”として設計したことが、Wu-Tang を唯一無二にした。

売れなければ切られる側から、主導権を握る側へ。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
ソロ作を、契約レーベル別に並べる。九人を一社に集めず、別々のレーベルへ送り込んだ「5年計画」が、ロゴの違いとして一目で見える。分散こそが、主導権を握るための設計だった。

06

CONSTELLATION

九の軌道

NINE ORBITS

5年計画は、実行された。クランの重力を保ったまま、九つの軌道が次々に独立していく。各メンバーが別々のレーベルから、自分の名前でソロ作を放った。前史で一人ずつ飲み込まれた轍は、ここで完全に逆転している。

各メンバーは別々のレーベルと契約しながらも、RZA のプロデュースという一本の糸で結ばれていた。集団の重力と、個の独立。その両立が、ここで形になった。

本アーカイブは、9 人すべてを揃えることを目的にしない。狙うのは、ソロ黄金期(1994–2000)を決定づけた主要なソロ・クラシックスだ。Method Man『Tical』(1994)と Ol’ Dirty Bastard『Return to the 36 Chambers』(1995)が幕を開け、Raekwon・GZA・Ghostface・RZA・Inspectah Deck と続き、Ghostface Killah『Supreme Clientele』(2000)がその時代を締める。U-God や Masta Killa を無理に足さないのは、“全部”ではなく“効いた一枚ずつ”を選ぶという編集の判断である。あわせて Raekwon 1st の US オリジナル未開封シールド、Inspectah Deck のシグネチャー・スケートデッキ(Wu-Tang × Hardgood Co)も収める。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
各ソロ作のクレジットには、必ず同じ名前がある。Produced by RZA。別々のレーベルから出ても、九つの軌道を一本に束ねていたのは、彼のプロデュースだった。

主要ソロ作

WU-TANG SOLO CLASSICS 1994–2000

封印された4枚

THE SEALED PRESSINGS

『Only Built 4 Cuban Linx…』は、Raekwon を主演、Ghostface を助演、RZA を監督に見立てた“映画”として作られた。本アーカイブには、その US オリジナル LP(未開封シールド)と、そこから切られた 12インチ・シングル3枚(いずれも未開封)が揃っている。1995 年前後に世へ出たまま、誰の針も落ちていない。鳴らされなかった音が、シュリンクの中で時間を止めている。封を切らないという選択そのものが、このアーカイブの思想だ。

すべての母体。『Only Built 4 Cuban Linx…』の US オリジナル LP を、未開封シールドのまま収蔵している。1995 年に世へ出た一枚が、一度も再生されることなく密封されたまま。下の3枚のシングルは、このアルバムから切り出された。

Only Built 4 Cuban Linx...(LP)

Raekwon / 1995 / US オリジナル LP 未開封シールド

1995 年 6 月 26 日のシングル。A 面「Criminology」は Ghostface Killah(Tony Starks 名義)を迎えたアルバム屈指のハードコア。B 面「Glaciers of Ice」は RZA プロデュース、Ghostface と Masta Killa が参加し、独特の“色”を語るリリックで知られる。アルバムの世界観を世に予告した一枚だ。

 

Criminology / Glaciers of Ice

Raekwon feat. Ghostface Killah / 1995 / 12" US 未開封シールド

1995 年 9 月 25 日、アルバム3枚目にして最大のヒット曲。Ghostface、Method Man、Cappadonna を迎えた究極のポッセカットで、Method Man のフックは今なお歌い継がれる。B 面は名曲「Incarcerated Scarfaces」。OB4CL の華やかさを象徴する一枚。

Ice Cream

Raekwon feat. Ghostface, Method Man, Cappadonna / 1995 / 12" US 未開封シールド

1994 年 10 月 24 日、アルバムで最初に録音され、最初に世に出た原点の一曲。もとは映画『Fresh』のサウンドトラックへ提供された。Raekwon と Ghostface の二人の関係性も、名盤 OB4CL の物語も、ここから始まった。

Heaven & Hell

Raekwon feat. Ghostface Killah / 1994(映画『Fresh』OST)/ 12" US 未開封シールド

07

THE SUMMIT

五年計画の頂点

WU-TANG FOREVER

ソロで各自が名を上げたあと、九人は再び集合した。1997 年、2 枚組の大作『Wu-Tang Forever』。Billboard 200 初登場 1 位。5 年計画が完全に機能した瞬間である。

各メンバーがスターになり、その全員が一枚に戻る。前史で一人ずつ飲み込まれた男たちが、今度は束になって頂点に立った。クランであることと、個であること。その両立が最大出力に達したのが、この 2nd だった。

本アーカイブが保有するのは、4LP の US オリジナル盤(未開封シュリンク付き)。シュリンクの上には $16.99 の値札シールが当時のまま残り、ニューヨークの名店 Fat Beats で売られた一枚と思われる(Loud / RCA)。封を切られていないだけではない。値札ごと、1997 年がそのまま密封されている。誰も針を落としていないレコードが、頂点の時間を保存している。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
Wu-Tang Forever(1997, Loud / RCA)。$16.99 の値札シールが残る US オリジナル4LPを、未開封のまま収蔵。NY の Fat Beats で売られた一枚と思われる。

封を切られていない一枚は、 勝利の瞬間を、そのまま密封している。

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ゲームになったクラン

BEYOND MUSIC

頂点に達したクランは、音楽の外側へも広がっていった。1999 年、Wu-Tang はゲームになる。『Wu-Tang: Shaolin Style』(Paradox Development/Activision、PlayStation。欧州版は『Taste the Pain』)。メンバーの分身が戦う最大4人同時対戦の格闘ゲームで、武術映画とヒップホップが画面の中で融合した。特別版には W 型の専用コントローラーも存在した(使い勝手より所有欲を満たす逸品)。

本アーカイブが持つのは、日本の廉価再発レーベル 「SuperLite 1500」版(Success、2000 年)。これは“ヒットしたから”の特別版ではなく、原盤の発売後に税抜 1,500 円で再リリースするバジェット再発ラインだ。海外発の異色タイトルが、低価格で日本のプレイヤーの手元に降りてきた一枚。クランが“ブランド/ユニバース”へ拡張した記録である。

Wu-Tang: Shaolin Style

Activision / Paradox Development / 1999(日本:SuperLite 1500・Success・2000)/ PlayStation

08

FINAL CHAMBER

2026年5月24日、横浜

MAY 24, 2026 — YOKOHAMA

正式公演名は「Wu-Tang Forever: The Final Chamber」。単独公演としては29年ぶりの来日だった。2026 年 5 月 24 日、Kアリーナ横浜。RZA / GZA / Raekwon / Ghostface Killah / Method Man / Masta Killa / Young Dirty Bastard、クランの面々が、日本の観客の前に立った。

終わりを示す名前を、彼らは自ら選んでいた。しかしそこにあったのは終わりではなく、35 年間を一つの場所に凝縮したような時間だった。1991 年の二枚の不発が始まりで、2026 年の一夜がその章の末尾だとしたら、その間に、ヒップホップの歴史が一つ書かれたことになる。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
2026年5月24日、Kアリーナ横浜。「THE FINAL CHAMBER」の会場に浮かび上がった Wu-Tang の "W"。九つの声が放った布告が、35年を経て同じ場所に灯った夜。

09

THE WORD

受け継いだ言葉

90s HIP-HOP ENERGY

その夜、RZA はある言葉でクランのサウンドを表現した。ステージ上から、会場に向けて、本人の口から発されたこの言葉を、私たちはこの場で聞いた。

“90s hip-hop energy”
C.r.e.a.m. Team Records が「90s ヒップホップ専門レーベル」として自らを定義するとき、その言語の中心にあるのは、この言葉と同じものだ。2026 年 5 月 24 日の横浜で、そのアイデンティティが RZA 自身の声によって確認された。

本アーカイブが保有する「THE FINAL CHAMBER 来日記念 非売品チラシ」と、タワーレコード限定の来日記念完全生産限定盤(2016 Vinyl 帯付き/2018 Colored Vinyl/燃えよウータン カセットテープ)は、1991 年から 2026 年へと続く時間軸の末端にある物体だ。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
タワーレコード限定の来日記念完全生産限定盤。1991 年と 2026 年が、一つの俯瞰の中で重なる。

10

WHY IT MATTERS

保管ではなく、接続

NOT STORAGE, BUT CONNECTION

前史 → 布告 → 名 → 音 → 計画 → 九つの軌道 → ファイナルチェンバー。この順番で積み上がった物理的な記録が、本アーカイブの構造を成している。二度の挫折、少林寺の血、借り物の機械、5年計画、九つの軌道、そして横浜の一夜。すべてが一本の時間軸の上にある。

二枚の不発のレコードから、一夜のステージまで。九つの声が放った布告は、33 年を経て、同じ言葉として横浜に響いた。所有とは保管ではない。私たちは、その時間ごと、この記録を未来へ接続する。

九つの声が放った布告は、33年を経て、同じ言葉として横浜に響いた。#04 が記録するのは、一枚のレコードではない。1991 年から 2026 年までの「時間」そのものである。

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records
1991 から 2026 まで。すべての物体が、一本の時間軸の上に並ぶ。

レーベル名の由来『C.R.E.A.M.』

THE SONG

元ネタ

SAMPLE

半世紀前のソウルの一節が、スタテン・アイランドの布告のビートになった。引用の文化が、レーベルの名そのものに刻まれている。(サンプリングは公的に確認された事実に基づく)

”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

C.R.E.A.M. / Wu-Tang Clan(prod. RZA)1993。Cash Rules Everything Around Me。この曲名が、当レーベル C.r.e.a.m. Team Records の由来になった。

 

As Long as I’ve Got You / The Charmels(1967, Volt / Stax)。Isaac Hayes・David Porter 共同制作。RZA がこの冒頭のピアノのループを軸に「C.R.E.A.M.」を組み立てた原曲。

◀ SAMPLED FROM
As Long as I've Got You
The Charmels
1967 ・ Volt / Stax

36 CHAMBERS TO FINAL CHAMBER

TIMELINE

1978
1978

少林寺三十六房

映画公開。アルバム名「36 Chambers」の由来であり、Wu-Tang の文化的原点。

1983
1983

少林と武當

映画『Shaolin and Wu Tang』公開。グループ名「Wu-Tang」の由来。

1991
1991

前史・二度の挫折

The Genius『Words from the Genius』/ Prince Rakeem『Ooh I Love You Rakeem』。ともに不発、両者レーベルを去る。

1993
1993

36 Chambers

『Enter The Wu-Tang (36 Chambers)』発表(RZA プロデュース)。East Coast サウンドの起点。

1994–96
1994–96

九つの軌道

Method Man / ODB / Raekwon / GZA / Ghostface がソロとして独立展開(5年計画)。

1997
1997

Wu-Tang Forever

2枚組大作で全米1位。クランの頂点(4LP US盤を収蔵)。

2000–01
2000–01

The W / Iron Flag

集団としての歩みは続く(両作を収蔵)。

2016 / 2018
2016 / 2018

来日記念盤

タワーレコード限定 完全生産限定盤(Vinyl/Colored Vinyl/カセット)。

2026.5.24
2026.5.24

FINAL CHAMBER

Kアリーナ横浜。RZA が “90s hip-hop energy” と語る。

アーカイブ収蔵

前史2枚を含め、プロモ盤・来日記念盤・ソロ群・少林寺資料を #04 に収蔵。

全カット

FULL ARCHIVE

ARCHIVE NOTES

本アーカイブに関する注意事項

  • 作品の所在と背景
    本シリーズで紹介している作品および物品は、C.r.e.a.m. Team Records が所有するアーカイブであり、非売品となります。

  • プロモ盤について
    保有する「Enter The Wu-Tang (36 Chambers)」プロモ盤 LP(RCA Records, 1994)は、商業流通盤ではなく、メディア・業界関係者配布用途の NOT FOR SALE プロモーション盤です。

  • 前史2枚について
    The Genius『Words from the Genius』(1991, Cold Chillin’)と Prince Rakeem『Ooh I Love You Rakeem』(1991, Tommy Boy)は、Wu-Tang 結成以前の GZA・RZA 名義による、確認できる唯一のメンバー・ソロ作です。前者には Prince Rakeem 名義の RZA も客演しています。

  • 現場の証言
    2026年5月24日の Kアリーナ横浜公演「THE FINAL CHAMBER」は、当アーカイブ担当者が実際に参加した公演です。RZA の発言(“90s hip-hop energy”)は現場で直接聴取したものです。

  • Wu-Tang DNA
    少林寺三十六房(Shaw Brothers, 1978)は Wu-Tang Clan のグループ名の由来となった映画です。B2 ポスター・OST 帯付き初回盤・映画パンフレットは、Wu-Tang の文化的 DNA への接続として位置づけています。

  • サンプリングについて
    「C.R.E.A.M.」が The Charmels「As Long as I’ve Got You」(1967, Volt / Stax)をサンプリングしていることは、公的に確認された事実に基づきます。

  • 実地展示のご案内
    公開された各アーカイブは、今後開催予定の C.r.e.a.m. Team Records ポップアップストアやライブイベント会場にて、実地展示を予定しております。具体的なスケジュールや会場の詳細は、決定次第、当サイトおよび公式SNSにて順次お知らせいたします。

  • 権利とリスペクト
    本アーカイブの公開および展示は、文化の記録と接続を目的としております。各アーティストおよびレーベルのパブリシティ権・著作権に深い敬意を払い、所有権に基づき適切に運営いたします。

REFERENCES

出典・参考

一次記録(自社アーカイブ・現地取材) 「THE FINAL CHAMBER」2026年5月24日・Kアリーナ横浜公演の事実、出演メンバー、RZA の発言(“90s hip-hop energy”)は C.r.e.a.m. Team Records による現地取材・現場記録に基づく。各物品(プロモ盤・前史2枚・ソロ作群・来日記念盤ほか)の保有・状態・来歴は自社アーカイブ品目データベースによる。
01 布告 / アルバム「36 Chambers」 発売1993年11月9日、RZA プロデュース、East Coast サウンドの起点: Enter the Wu-Tang (36 Chambers) — Wikipedia
02 前史 / Prince Rakeem・The Genius RZA「Ooh I Love You Rakeem」(1991, Tommy Boy/不振により契約解除): Ooh I Love You Rakeem — Wikipedia GZA「Words from the Genius」(1991, Cold Chillin'/Prince Rakeem 名義の RZA が客演): Words from the Genius — Wikipedia
03 名の出自 グループ名「Wu-Tang」の由来:映画『少林と武當(Shaolin and Wu Tang, 1983)』 — Wikipedia アルバム名「36 Chambers」の由来:映画『少林寺三十六房(The 36th Chamber of Shaolin, 1978, Shaw Brothers)』。
04 制作・スタジオ・機材 Firehouse Studio(NYC)での録音、仲間から借りた E-mu SP-1200/Ensoniq EPS-16 Plus/ASR-10 の使用、ソウル・ジャズのサンプリングと速度操作、カンフー映画の台詞挿入: The Gear Behind 36 Chambers — Sweetwater Behind the Scenes of "36 Chambers" — Qobuz 36 Chambers Oral History — SPIN
THE SONG / C.R.E.A.M. サンプリング The Charmels「As Long as I've Got You」(1967, Volt/Stax/Isaac Hayes・David Porter 共同制作)を RZA がサンプリング: WhoSampled "The Story Of A Sample" — NPR
グループ作・関連(全カット掲載品) Wu-Tang Forever(1997)/Iron Flag(2001)/Ghost Dog: The Way of the Samurai OST(RZA プロデュース, 1999/2000)の各作概要は Wikipedia/Discogs を参照。
”みんなで創る”90年代ヒップホップ専門レーベル|C.r.e.a.m. Team Records

C.r.e.a.m. Team Records

さあ、ステージへ。 クリームチームレコードは誰でもアーティストやオーナーとして 創作活動に参加できる90年代ヒップホップ専門レーベルです。